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2016-02-16

塾生のA子さんに薦められ【あん】という傑作フィルムを観ることができました。

水曜日の真夜中に娘と怜君が帰省し、日曜日の夕方帰るまで母もずっと泊まったし、久しぶりににぎやかさが充満した日々を過ごした。

彼らが帰り母も帰り、我が家はいつもの3人での暮らしにかえった。 やがては下の娘も、この4月からは社会人になるので遠からず家を出てゆくことになるかとおもうと、やがては夫婦二人の生活になる。

その日を静かに迎えるべく、今しばらくは娘との3人での暮らしを大切にしたいと私は考える。

ところで昨夜、お正月いらい久方ぶり映画館で映画を見た。これは遊声塾のA子さんがすごく感動したと私に薦めてくれたフィルムなので何としても観なくてはと思ったのだ。

私の娘くらいの年齢の方から、薦められるフィルムとはどのようなものなのかを確認したいという気持ちが動いたのと、幾分自分の世界に(そんなものがあるないは置くとして)ひきこもるかのような暮らしをしている私なので、虫の知らせ的な感覚で出かけたのである。
妻が拾ってきた花は白血病を乗り越え元気です

19日まで朝と夜の2回しかやっていない。なんの先入観もなく出かけた。

【あん】という タイトル、河瀨直美監督の作品だと知った。この方の映画は萌の朱雀を見ている。独特の視点、タッチがある。

【あん】、一言でいえば傑作、いろんな意味で染み入る様に打たれた。

何度も書いているが私の好きなフィルムは想像力を刺激する、説明の少ない、余韻の残る作品である。なにげない日本の風景の中に、人間が溶け存在している。

あんという作品にはまったく無駄がなく、セリフも少なめ、しかし登場人物の存在感は圧倒的である。何よりも丁寧に映像詩(死)のように、女性の特質ならではの河瀨直美監督の映像世界(映画でしかできない)が映し出される。

残酷な美とでも形容するしかない人間世界の在り様を、月や風や光、色づいては変化する樹木の紅葉、花々が、季節の中でそっと包み込む。

いまは見たばかりで、多くを語りたくはない。ただすごくうれしかったのは、このようなフィルムを私に薦めてくれる感性の女性が私の塾に入ってきてくれたことに、ただ感謝している。

映画を共に観ていた観客は10人もいなかったと思うが、このようなフィルムに足を運ぶ観客でありたいと私は思う。少数者の声なき声を芸術作品に昇華する才能に脱帽する。

そして、自分が感動したあらゆる作品を、自分にとって大事な人にも伝えられるようにありたいものだと思い下の娘に薦めたら観にゆくとの返事で、ちょっとうれしかった。



1 件のコメント:

  1.  この監督さんの作品、何本か見ていますが、ちょっと 苦手な作風でした。こういう言い方をすると語弊がありますが、映画評論家の方たちは好きそうな映画。ぶっちゃけ 難しくてよくわからなくて・・・。
     でも「あん」は 大好きな永瀬正敏さんが出演することと、その「テーマ」に惹かれて、見に行くことにしました。
     昨年のイオンシネマ岡山、平日だったと思うのですが 8割がたの入りでちょっと びっくりした記憶があります。こんなに関心を持っている人がいるとは思わなかったので。
     昨夜 映画館でごらんになった、と伺ったので 検索しましたら、「アンコール上映」されているのですね。
     「映画」をレンタルのDVDやオンラインで簡単に見ることが出来る昨今ですが、いい作品は やっぱり 映画館で 見たいものです。

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