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2020-02-17

午前中新聞記者というDVDを見て午後ブレディみかこ著ぼくはイエローで、ホワイトでちょっとブルーを読む、そして想う。

昨日は終日雨で夕方図書館に出掛けただけで、じっと家で過ごした。午前中妻と珍しく二人で【新聞記者】という映画をDVDで観た。長くなるのでストーリイは省くが、国に忠誠、滅私奉公する官僚の心理というものが、微妙に描かれていて、引き込まれてみた。

国民にとって現代の身近な問題を 下敷きにした、フィクションだがかなりのリアリティをもって迫ってくる。監督は私の知らない、30代の若い監督だという。もうすっかり最近の若い監督の作品はみなくなって久しい私だが、反省した。

私が引きこもりおじじ化している間に、多分野に新しい才能があちらこちらに出てきていることを知らされ、うれしかった。芸術や文化、小説映画芸能など、時代を映す鏡としての機能を果たしている。このような作品が創られていることにほっとする。五十鈴川だよりを読んで関心のある方はみてほしい作品である。

ひとりで静かに観たい作品もあるが、妻と二人で観たい作品もある。幸い映画の好みが近いので、妻とは休日二人で共に良き映画をこれからの人生で見ることが増えそうである。

ところで主役の新聞記者を演じる、韓国の女優さん、シム・ウンギョンが素晴らしい。映画でしかできない、アップの時の表情や、台詞のない時のさりげないしぐさが。この女優さんを見ているだけで、映画世界に引き込まれてしまう。

私はこの十年以上韓国映画を随分堪能させてもらっているのだが、その一番の理由は、男女とも俳優が素晴らしいからである。もちろん内容もだが。いい俳優が出ているフィルムは押しなべてやはりいい。 随分韓国に行っていないが、またふラリ旅をしたくなってしまう、そして現地で現地の人と共に映画を見るのである。

韓国では国民に映画を見るように国策として推進していると聞く。国が多額のお金を文化振興政策として投入している。韓流ドラマがいまだ健在なのはゆえなしではない。韓流ドラマは特にアジアで多額の外貨を稼いでいる。

売れるのはスマホや物だけではなく、文化は人の心を打ち、お金を生むのは当たり前である 。日本も何がクールなのかを、今からでも他国に良きものは虚心坦懐に学ぶべきである。とはいってもこの新聞記者のような作品を創っている日本の映画人がいることには、どこかほっとする。深いことは置くとしてやはり私は日本人である。

ところで、昨日の午後読みたいと思っていた【ブレディみかこ著ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー 】全16章を一気呵成に読んだ。実に面白かった。著者にしか書けない文体が躍動していて読みだしたらやめられないほどに引き込まれた。

望晃くんがおじじにプレゼントしてくれたように感じる
長くなるのでもうよすが、今の時代の国籍を超えたカップルの間に生を受けた子供とその母親の奮闘記 というありきたりな本ではなく、まさにこのグローバル化の多様性の渦中をしなやかな感性で生きてゆく、未知の国の母と子のリポート、成長期の物語。

そのしなやか、グルーブ感あふれた文章には打ちのめされた。どのカテゴリーにも属さない、属せない、どの言葉でもってもぴたりとは当てはまらない、新しいというしかない感性の登場。

ブレディみかこさんは、新しい日本人である。あらゆるボーダーを彼女の言葉でしなやかに軽やかに歩む。乗り越える。その行動力、父はアイルランド人母は日本人、二人の間に授かった息子、実践力の母と子の感動的というしかない英国底辺中学校生活のリポート。

 越境しながら根源的に国や人種間のあらゆる階級差をはじめとする、現代の英国社会が抱え込む諸問題に、曇りのない目で果敢に思考し、彼女ならではの感性での前例のないリポート。五十鈴川だよりを読んでくださっている方には、読んでほしいと切に思う。ブレディみかこさんの息子のように、きっとわが孫望晃くんも世界の風に当たるだろう。このような国籍が異なるカップルは今後増え続けるだろう。そこに希望がある。

ブレディみかこさんのリポートは限りなく、マイノリティカップルの今後を照らす希望の手引書になるだろう、時間が来た今朝はこれにて。

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