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2019-04-29

シェイクスピアの輪読音読会で、I先生に声を通じてあらためて出会うことができました、その喜びをささやかに記す。

第二回目のシェイクスピア音読輪読会を、昨日無事に終えることができた。前回に引き続き参加された方が4人、はじめての方が3人、見学者が一人。結果前回と同じ私も含め8人で輪読した。

ちょっと昨日の今日で、頭の中が整理されていないのだが、昨日の輪読会に初めて参加されたI先生(と今後呼ぶことにしました)のことは、以前一度だけ五十鈴川だよりに書いたことがある。その先生から私が昨日受けた、充実した刺激について、ちょっと書きたい。

先生は今年84歳になられる。先生は昨年の6月ごろリア王の稽古の真っ最中に、私の塾の朝日新聞んの記事をもって、いきなり来られ、ローレンスオリビエ主演監督のDVDを見てくれと手渡された。

そのDVDはいま私の手元にある。何度見ても素晴らしい作品である。その後一度お会いしてお話をしてご縁を深めていたのだが、その先生がよもやまさか、輪読会に参加されるとは、つゆほども思わなかったのである。

つまびらかに先生の音読の素晴らしさを、(上手とかへたの次元を超えた声の魅力)私の拙文では表せないが、シェイクスピアに対する思い、情熱の深さ、そして生きて歩んでこられた人生が詰まった、経験の襞に裏打ちされた声の素晴らしさが、私の肺腑にずんと響いたのである。

先生は旧満州生まれ、敗戦の時9歳、引き上げてきて東京生活、大学は九州大学、英語が堪能で、朝日新聞に就職、要職を務められる傍ら、とある大学で英語を教えられ、シェイクスピアを原文ですらすら読めるほどの知識人、つまりはインテリなのである、ただのインテリではない 。

その方が、私の思いついた日本語翻訳のシェイクスピア輪読会に参加してくださったのである。そして私がやっていることに関して、お褒めの言葉をいただいたのである。
いつか上映会をやりたい、素晴らしい。

私はこれまでの人生、けなされることは多く体験してきたが、面と向かって知識人というか、私の苦手なインテリ(学者的地位に安住しているようないわゆる書斎派)からほめられたことは一度もなかったので、驚くと同時に、やはりそこは人間、ほめられてうれしく、この7年目に入る、シェイクスピア遊声塾での取り組みが報われた思いに満ちたのである。

このような先生に出遭えたことで、正直私は輪読会を始めて本当に良かったとあらためて思ったのである。シェイクスピア遊声塾のみの活動であったら、先生の音読の素晴らしさを体感することはなかったであろう。

高齢を押して、果敢に声を出す姿に(補聴器を忘れられていたにもかかわらず)若輩の私は勇気を得、そして撃たれたのである。

輪読会を終え、西川でNさん、Tさん、Kさんとお酒を飲んだ。高齢の先生も遅れて参加、敗戦時9歳の時に体験された、阿鼻叫喚の惨劇、修羅場のわずかのお話の声は実体験した者でないと出ない音であった。

頑固な私である、が先生の意見、ご忠告には素直に従いたと思う。また一人母以外にあのように老いてゆきたいという身近なお手本が見つかった。シェイクスピアのおかげである。

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