ページ

2023-08-15

出口治明先生に学ぶ猛暑の夏。(独学は老いを豊かにする、居ながらにして学べる)

 台風が近づいている。従って今日は労働仕事はおやすみである。こういう日はただ静かに生活し、嵐が過ぎ去るのを待つしかない。

話は変わる。このコロナ禍の3年以上で、私自身の生活のなかで以前とはちょっと異なる変化のひとつは、本を読む種類がいくぶん変わったことがあげられる。人生の残りの持ち時間を、どうしても意識するので、これまであまり手にしなかった分野の本も読むようになってきた。それはこの十数年かなりの時間手にしてきた佐藤優さんの本の影響が大きい。本は次の本を呼ぶ。

というわけで、出口治明先生(私にとっては先生と呼ぶにふさわしい)の仕事に効く教養としての【世界史】という本を読み終えたばかりである。昔だったら、仕事はとうにリタイヤしているから手に取らなかったと思うが、教養という言葉に引かれて手にした。正解、教養という言葉を凌駕してあまりあるほどのあまりの博覧博識に一驚した。読み進めながら何度も感嘆した。

この本は2014年に出版されている。出口治明先生がお話したことを優秀な編集者がまとめた本なので実に読みやすく、読み出したら一気に引きずり込まれ、時間を見つけて3日ほどで読み終えた。

目から鱗、蒙が開かれるとはまさにこの事である。そのいちいちは割愛するが、第6章のドイツ・フランス・イングランド、3国は一緒に考えるとよくわかるというところを読むと、シェイクスピア作品にヘンリー6世三部作があるのだが、じつによくわかるのである。この作品は英国とフランスとの100年にわたる、俗に薔薇戦争を題材に描いた長大な作品であるが、その時代の地理的、政治的時代背景がわかれば数倍楽しめる。(異国の私にも人間ドラマとしても十分に楽しめ、現代にも十分に通用する普遍的な作品)

出口先生が理路整然と表にして図形かして説明してくださると、がぜん分かりやすく、なるほどなるほどとと府に落ちるのである。そして時おり関西弁でユーモアを交え、日本の歴史に置き換えて説明してくださるので分かりやすいのである。

先生は学者ではない、長く大企業の第一線で体をはって仕事をされてきた方である。企業で働く傍ら、独学で人類5000年史を独自の視点で学んでこられ、読書と旅が趣味の、私に言わせれば達人的な生き方をされている方である。このような先生に、無知がバネの私は一度でいいから学んでみたい。

シェイクスピア作品には、イタリアやギリシャ他、シェイクスピアが実際に生きた時代よりももっと昔を描いた異国の作品が多く、多くの国々の地理地名が出てくる。ひとつ例をあげるといわゆるルネッサンス以前の大航海時代が、どういう時代であったのか、私のような無知な輩にもすとんと落ちるのである。

そのアウトラインを知って【ベニスの商】を読むと、シャイロックのおかれていた苦悩が一段と理解できる。(気がするのだ)宗教の成り立ちや、ユダヤ教、イスラム教、そしてキリスト教の変遷の歴史についても、簡潔に述べられていて、私のような輩には本当に、世界史の入門書として最適の本に出会った、喜びに満たされる。この歳になって、今更ながらの無知の洗礼を浴びている私である。

出口先生に学ぶ猛暑の夏

だが、遅いということはない、と自分に言い聞かせている。またひとつ私のなかでの世界史の扉が開かれた喜びが私の体を浸している。この感覚があれば、まだまだ学べるという喜びがわいてくる。要は自分の人生は自分で学んでゆくことが、面白いのである。

長くなるのではしょるが、先生はライフネット生命を創られた方である。そして現在はとある大学の学長をなさっている。このような方がおられ、独自の視点で世界史を学びなさいと、説いておられる。紆余曲折、万事塞翁が馬、いきる叡知の入門書として複眼的に学べる、まれな本に猛暑のなか出合えた幸運を五十鈴川だよりに打っておく。

0 件のコメント:

コメントを投稿