ロンドン最後の朝である。窓から青空が見える。涼しく気持ちがいい。朝夕シャワーを浴び、整理整頓、気持ちが上向くようにすることが一人旅では大事である。荷物のパッキングも終えタブレットに向かっている。
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| 白い部分3階席が競り出している |
昨日の五十鈴川だよりで、もうミュージカルを観ることは今後はない、と打ったばかりなのに、昨日午後、Aldwichシアターで、シナトラ(フランク.シナトラ)という、フルバンド、17人編成が生で演奏する、素敵というしかないミュージカルのマチネー公演を観た。全く観る予定はなかった。
昨日宿でブランチを済ませ、近所に散策に出かけたところ、9番のバスの行き先がAldwichと表示されていたので、その表示に誘われて飛びのったのである。
Aldwich.theatareは、49年前、RSC(ロイヤル、シェイクスピア、カンパニー)の本拠地で私が最も通いつめた劇場だったので、これも何かのお導きと都合良く考えたのである。
バスは私が昨日歩いたのと同じ道を走りピカデリーを抜け、午後2時Aldwichに着いた。劇場は記憶のままにそこにあった。劇場入り口にはマチネー公演を観るご年配の人びとで溢れかえっていた。よもや木曜日のマチネーがあるとは。
すでに、RSCは本拠地を変えている。劇場にはシナトラのミュージカルが上演中なのだが、どうしても劇場に入りたくなり、当日券が(40ポンド、8000円、日本でこのレベルのミュージカルを観ることをおもうと実に安い)であったので、観てしまったのである。結果、ロンドン最後の日に、よもやまさか、思い出のアルドウィッチシアターで、シナトラのミュージカルを観ることになるのだから、話が出来すぎである。
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| 幕間の様子 |
ミュージカルは、あの当時のアメリカのショウビジネス界を生き抜く、一人の男の愛と苦悩の生涯をミュージカルに仕立ててある。シナトラは歌手だから、私の知っている曲も多くあり、マチルダと同じように随所に、本場の根付いたミュージカルの力を堪能した。
幕間、カフェでくつろぐ、ご年配カップル(シナトラを知る世代で客席は埋まっていた)に交じって、私もビールを飲み、若き日の自分の幻影を劇場空間に見た。感無量というしかなかった。
二部は、マイウエイトの歌で始まる。憎い構成である。私を含め、ご年配の観客は嫌でも人生を振り返られたに違いない。17時終演。
大満足で外にでて、見納めにウオータールーブリッジまで歩き、テムズ川の風にあたり、ピカデリーに出て孫たちにささやかなお土産を買い、地下鉄でハマースミスへ。
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| 高齢者、夢は青野を、かけめぐる |
宿に戻って、シャワーを浴び、近所の雑貨屋さんでビールとパン他を求め、一人でこの度最後の夕食を部屋でする。
一人老人が異国ののホテルで食事をしている様は、ちょっとさみしい情景だが、私としてはこれがいちばん私らしいのである。大勢の人が談笑しているレストランよりも、一人で部屋でつましく、噛み締めて頂く食事のほうが有難いのである。
贅沢をするための旅には、私はとんと興味がない。身の丈に合う生活、身の丈に合う旅こそが私の旅である。そして身の丈に合う、老人ならではの企画を夢見る、私である。



日高兄さんらしい旅慣れたロンドン行脚楽しませていただき、ありがとうございました。過去の思い出と現在とが響きあい、歳を重ねても素晴らしい人生を過ごされていますね。私はイギリスへは一度も行ったことはありませんが、シェークスピアシアターなどについては良く耳にしていましたから、少しは実感出来ました。私は23歳の時ヨーロッパ8か国を巡りチェコの中世の面影を残すプラハの街を悠然と流れるエルベ河のダークグリーンの独特の色彩が今も目に焼き付いています。そのエルベ河がドイツのドレスデンに流れていること、地図で確認するとプラハとけっこう近いことなど、初めて知りました。どうぞお気をつけてお帰り下さい。新しい企画の実現に向けて邁進したく思います。
返信削除瀬政さん、今回の旅に2度もコメントを頂き、感謝します。コメントにゆったりと返信を打てるのも、早く空港にいるからです。思えば、コメントを頂くのが少ない五十鈴川だよりなのですが、今回は息子のレイさんからも、ジーンとするコメントを頂きました。旅はいろんな人びと、普段日本でメールをやり取りしている関係性の家族や友人の意外な面を、顕にするように思えて、改めてロンドンへ来て良かったとおもいます。15年五十鈴川だよりを打っていますが、ほぼ2週間打ち続けたのは初めてです。この返信は公開されるので、気楽にそして真面目に打っています。何しろヒースロー空港から、瀬政さんに電子通信をすることになるのも時代です。また、楽しからずや、と言ったところです。そちらは、まもなく真夜中ですね。余裕、時間があることの豊かさ実感の旅の終わりです。山梨に住むkさんからも、度々ラインをもらって、国内でのやりとりでは、見えなかった面を知らされたりして、人間の豊かさを再認識しています。わずかな言葉にも、人柄が滲む。そのような友人、知人をこの世で持てた幸運は、言葉になりません。誠実な関係性を持続することがなかなか困難な時代ですが、重々反省し、老いの花を無理なく堪能、探求したく、宜しくお願いいたします。ともふみ拝。
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