知り合って初めて立光学舎の前で記念撮影 |
5月6日夜、土取利行さんが住んでいる郡上八幡市内で行われた、日韓パーカッションアンサンブルを聴きにゆき昨日帰ってきました。土取さんが選んだ韓国のグループは韓国の伝統的打楽器集団5名で編成されるノルムマチ。
何の先入観も持たずゆきました。会場の文化センターは600名はいるのですが、ほぼ満員。ステージ上には日韓の神の寄りしろがつるされていたいた。先ず土取さんの笙の調べで静かに開演、続いてノルムマチが会場から登場、町内を練り歩くように演奏しながらステージに上がり5人での演奏が20分くらい続いた段階で、会場は一気に日韓パーカッションの世界へと誘われた。
伝統と前衛のアンサンブルとあるように、土取さんとノルムマチでしか成しえない打楽器の世界が息をまさに飲むという感じで一期一音展開された。韓国の伝統的打楽器集団のノルムマチにたいして、土取さんは韓国由来の呉鼓(土取さんが正倉院に眠っている、百済人の・みまし・という人が伝えた鼓を復元した)をはじめ、大小多種類の鼓・打楽器をソロで演奏、氏独特の繊細な手音の世界で、聴衆を魅了する。
後半、一糸乱れぬ肉体の極限までの両者の共演は言葉にするのがはばかられるほどに、なんとも言えないまさに幸福というしかないライブ感に会場全体を包みこみながら進行する。土取りさんは年齢を超越した、鍛え抜かれた者のみがなしうる境地のパーカッション世界で、またしても私の度肝を抜いた。
ラスト、大団円の両者の共演に会場は興奮のるつぼと化した。久しく忘れていた、繰り返し書くが私にとっての幸福感(おそらく居合わせた全員が共有する幸福感を味わっていた)を呼び覚ました。(カーテンコール私も年を忘れ立ち上がり踊りださずにはいられなかった)おそらく会場全体の方が、今この現在の歴史のなかに溶けてゆき、真の音のすごさに身をゆだね、無意識に、全員が頭ではなく眼で、身体で音を聴いていた。
音が身体全体に語りかけてきて眠っていた記憶をかくも呼び覚ますということの不思議をこの夜私は久しぶりに体感した。私のこれまでの人生の中で体感してきたライブの中に、また一つけっして忘れられない出来事が起きた夜として、拙いブログではあるがきちんと書いておきたい。音魂(音楽ではない)での大いなるものとの交流。
陽がさし始めるように、彼方からのかすかな始源の響きから、身体を射抜かんばかりの鼓と笛による6名が醸し出す、アンサンブル。音のシャワーは、行きどころのない、さまよえる私を含めた今を生きる現代人の心を洗い清めてくれた。あらためてヒトは何故芸能を生み出してきたのかという根源的な問いの答えが、この夜のライブには在った。行ってよかった。そのことが私にブログを書かせている。
この企画をプロデュース実現した、若き土取氏を支える立光学舎のI氏は、半端ではない御苦労があったと推測する。日韓の間には今持って様々な事柄が喧伝される世相の中、このようなライブが立光学舎制作で行われたことは、オーバーではなく奇跡に近い。
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