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2021-10-02

思い付き鳥取遠出ドライブ、日帰り小さな旅、秋を堪能しました。

 昨日五十鈴川だよりを打った後、久方ぶりに小さな秋を体感したくなり、山の方にドライブしようと、水、食料、着かえなどを積んで我が家をでた。漠然と以前から行ってみたいと思っていた智頭町をナビった。

急ぐには程遠い余裕のある年齢、気ままドライブ、高速は度外視、過疎化高齢化が進むエリアの10月に入ったばかりの岡山を、西大寺から吉井川を北上し奈義町を抜け、そこからは鳥取智頭町までは20数キロである。

ナビの予測よりも早く、10時前には智頭駅のそばに在る森林組合と役場が併設になっている場所についた。すぐそばには観光案内所もあったので、地図をいただき、古い宿場町の景観を散策しようと想ったら、突然のスコールのような雨が降ったりやんだり。

仕方なく、車でのろのろめぐり、お昼近くになったので、新聞の多分書評で紹介されていたと記憶するが、都会から移り住み、廃校の跡地を再利用して、こだわりのパン屋さんが在るのが地図に(だから智頭町を選んだのかもしれない)しっかりと明記されていた。

名前はタルマーリー、そうだそんな名前だったと思い出し 探し当てた。緊急事態が解除されたとはいえ平日の昼間であるのに、お昼時でもあったからなのか、わずかな駐車スペースは私で満車の盛況、蜜を避けそそくさと妻へのパンを求め、カフェでコーヒーとパン生地にサラダを詰め込んで焼いた、そんなに高くはないセットを頼み、食して、次々来店する引きも切らないお客のために、タルマーリーを後にした。

ただこれだけはしっかりと書いておこう。値段に値する噛み心地、これぞパンの味が口の中いっぱいに広がり、最高においしく来てよかったと書評氏に感謝しタルマーリーを辞した。

タルマーリーの前にはきれいな小川が流れていて、校庭後にテントでも張って泊まってみたいと思わせる 場所であった。廃校(たぶん小学校)を最低限リニュ―アル、カフェの本棚には、手に取って読める本がたくさんあった。変に場違いなぴかぴか感がなくて、渋いのである。懐かしいのである。私くらいの年齢の者にはたまらない。

蜜でなかったら、もっと長くいたかったが、またチャンスを作り寝袋とテントを積んできたいと思わせるに十分な、気に入った場所となった。智頭町にタルマーリー在り。五十鈴川だよりにしっかりと打っておきたい。 

お昼を済ませたらすっかり雨も上がって、鳥取までは40数キロ、日本海を見に行くことにした。市内を抜け9号線を南下(9号線は山口県まで続く)、日本海が見えてきた。小さい島に鳥居が見える。車を止め、家族やKさんに写真を送ったり、日本海の少々波立つ風景にしばし見入った。来て本当に良かった。英気が満ちた。天は高く、海は青く波立ち、寄せては返す無限の動き。宇宙は無限。我ひとりぽつねんと物思う幸せ。

帰路は異なる道を。三朝温泉に立ち寄り湯につかることにした。もちろんナビったのだが、ここから内陸部、三朝温泉までのおおよそ一時間半くらいドライブ。まさに鄙びた農村の山間地の 景観が素晴らしく、ところどころ車を止めて見入った。

また途中、数十頭の山羊に軽トラックに積んだ、芋の蔓のえさを与えている老人に出会い、思わず声を掛けたら 何と趣味で山羊を飼っているというではないか。御年77歳とのこと。お元気そのもの。(書斎に閉じこもっていてはこういう人には絶対に出会えない)

聞けば定年までは薬の販売を市内でされていたとのこと。定年後まったくの趣味で別世界の好きなことをやっているだけだと、朗らかにのたまう。

まったく贅肉がない、ランニング姿でジーパン日焼けして健康そのものである。白髪、笑顔がさわやかでどこかしら、仙人のような気配が漂う。まさに山羊のように澄んだ目をしたかただった。世俗を超越した稀人との出会い。もちろん記念にスマホで写真を撮ったが、得難い方との出会いは、しっかと私の脳裡にしまい込まれた。

三朝に入り、三徳山の投げ入れ堂 をしたから参拝してから温泉郷にはいる。しばし昭和のノスタルジーに浸り、温泉街を歩く。障子が破れたままの旅館がめにとまる。コロナで客足が遠のき、きっとすべての温泉街の旅館やお店が、必死で耐えているのだろう。物悲し秋の夕暮れ、である。栄枯盛衰は世の常と知る。でもでも、人は生きてゆくのである。

観光案内書のそばの湯につかり、思い付き、小さな旅を終えることにした。帰路は三朝から勝山を抜け津山を抜け赤磐から西大寺へ。灯もとっぷりと暮れ、久しぶりの夜道を注意深く運転し、我が家に無事着いた。時は20時を回っていた。

遅めの夜食を済ませ、倒れこむように横になった。小さな秋を堪能したドライブ旅となった。


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