私が働く会社の近くには梅の木が多くみられるエリアで、鮮やかな梅の木を眼にするようになってきつつある。背景は青空、寒風に中に色が際立ち、春近しを告げている。
昨年の今ころは、サンナンで働くなんてことは考えもしなかったから、まったく人生の先行きなんてものは分からない。
いつものように朝から何やら、唐突な書き出しだが、これにはわけがある。実は今日これから、A専務の指示で、埼玉でとある方に会うために、出張することになったからである。
何のために行くのかの仔細は割愛するが、これも全く予期しないことであったので、私としては驚くのである。まだ農の仕事を初めて5カ月足らず、私ごときが何のお役に立てるのかは、判然としない中、ただ楽しく働かせてもらっている、といった認識しか私にはないのだ。
だが、専務は気楽に行ってきてくださいとおっしゃるので、私は素直に指示に従うことにした。以前も書いたが、A専務は、独力で農の勉強をして、中高年が生きがいを持って、そこそこ生活してゆけるような、志を高く掲げる農業を、企業人として目指している稀な人なのである。
私などとはまるで異なる発想の持ち主、狭き門に風穴をあけるように、安全な野菜を作り、それを消費者に届け、なおかつ利潤をあげ、それで生活ができる、新しい農法を目指している。
A専務が目指している農を、わずかだが働いてみて私なりに思うのは、一言でいえば嘘のない農業、限りなく風通しのいい、自然な農業だと思う。(命が見えない農薬農産物や見た目の美しさ、汚染食品を口にし続ける、無知ゆえのの恐ろしさ、現代生活の不気味)
私ごときでも思う。限りなく農薬が使われ続けている農産物がほとんどのこの時代に、限りなく不感症、鈍感になり、そのことに対しておかしいと(さえ思わない)は思っても、その消費流通構造にがんじがらめになっていて、身動きがとれなくなっている。
そこのところをあきらめず、柔軟に、果敢に、ひたむきに歩んでおられるのだ。農業部門を立ち上げて、3年足らずようやく少し光が見え始めている。A専務だけではなく、現代農業や、社会の多様な分野で、根本的に生活や暮らしの見直しの動きが、水面下で活発に動き始めているのを、私も感じている。そこに希望がある。私自身の生き方も問われる。
若い方たちが、都会から地方に(特に大震災以後)移住し、お金に使われるのではなく、本来のお金に立ち戻る経済活動へと、意識的なパラダイムシフトが始まってきた、ように私は感じ始めている。
目先のことではなく、3年、5年先を見据え、農と食を中心にした根本生活に立ち還り、自然との調和を、学びなおすために、動き出している若い方々の取り組みを、視察するための出張なのである。
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