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2024-07-01

今朝の4時5分からのラジオ深夜便、明日への言葉に松岡和子先生が出演されていました、そして想う。

雨なので労働は雨が小降りになってからにしようと思っている。この年齢なので本降りが続くようであれば行かないかもしれないが、倉庫の整理他雨のときにしかやれないこともあるので、五十鈴川だよりをうち終えたら出掛けたい。
ところで今朝は五十鈴川だよりを打つ気は全くなかったのだが、打つことにしたのは、私のお気に入りのラジオ深夜便、朝4時からの明日への言葉にシェイクスピアの全訳を日本で初めて女性で成し遂げた松岡和子先生が出ていらして、たまたまそれを聴いたからである。私は平均すると午前4時前には、カーテンを締め切った部屋で目覚め、暗い中ラジオのスイッチを入れおおよその時間を知ることにしている。だから深夜便を聴くときもあれば目覚めたときには、明日への言葉が終わっていることもあるのだ。 普段よほどのことがない限り、私は夜10時前には床につくことにしているので、午前4時前には目が覚めるの、明日への言葉には耳を傾けるようにしているのだ。わけても私より年上で私が知らない世界を生きられた方々のお話には勤めて耳を傾けるようにしている。そのお陰もあってこの数年の一日の過ごし方がよい感じで送れているのだ。そのいちいちを五十鈴川だよりには打ってはいないのだが、よいお話を耳にすると、その方のかかれた本を読みたくなったり、音楽を聴きたくなったりと、つまり今を生きる私の生活が刺激を受けるのである。 明日への言葉にお出になるかたの多くは私より年長者の方が多いので、なおさら私はこの番組を楽しみにしているのである。朝一番の言葉の贈り物、一日が始まる最初のビタミン剤なのである。ましてや今朝、松岡和子先生出演するとは知らなかったので、一気に耳がそばだって聞き入ったというわけである。40分近く、生い立ちから始まり、シェイクスピアとの出会いから、個人全訳の偉業まで、逃げても、逃げてもシェイクスピアというご本に書かれている内容のおおよそを、松岡先生が語るのを夜明け前の暗い部屋で聞いていたのだが、一気に目が覚め五十鈴川だよりが打ちたくなったのである。 マイスター音読が一区切りしこれからどのような形、どのようなチームでの再出発になるのかの思案を梅雨の真っ只中に始めようとしていた矢先での、松岡和子先生の明日への言葉。これを何かの啓示、私が勝手によいお導きと考えてしまうのも無理からぬことである。だって全く知らなかったのだから。 そもそももう2年半前になるが、上京し、たたま下北沢の本多劇場で加藤健一さんの一人芝居を観た際、おおよそ30年ぶり下北沢の本多劇場で、まさに劇的に偶然一方的に再会し(シェイクスピアシアターに在籍していたときよくお姿を拝見していたのだ)臆面もなく話しかけたことがあり、そのことがきっかけとなって、私の消えかけていた、シェイクスピアリーディング音読に火がついたのだから。 その時の出会いの経緯は、五十鈴川だよりに打っている。この松岡和子先生との出会いがなかったら、松岡和子先生での翻訳による新たなリーディング音読で、シェイクスピアをもう一度学び直すという勇気、発想は生まれなかっただろう。先生が全訳を終えられたのは80才近くであられた。先生は私より10才年上でいらっしゃる。シェイクスピアの原文をまずは直訳し、その後現代劇として通用する日本語に移しかえる作業に、まさに職人的に誠実に、まさにハムレットのように、この翻訳でいいのか、いけないのかと、命と格闘しながら推敲に推敲を重ねる。推敲をやめない。そこが先生が他の翻訳者とはことなる。 一言で言えば、演劇人として翻訳を続けている、のだ。翻訳して終わりではないのである。言葉は移ろう、人間も移ろう、だが本質的な問題、謎はそう簡単には変わらない。そういう人間という不確かな器のまるごと全体、争う、嫉妬、恋、おろかさ、間違う、繰り返す、貴賤、美醜、全階層、乞食から王様まで、多種多様な世界を変幻自在にカメレオンのように生きる人間という生き物を見つめ、言葉、台詞に込めた劇詩人がシェイクスピアなのであると、今更ながらに理解が落ちる。だからなのだとおもう。私がシェイクスピアのリーディングがやりたくなるのは。 松岡和子先生の人生そのものが、波瀾万丈である。関心を持たれたかたは、逃げても逃げてもシェイクスピアという御本を是非読んでもらいたいと切望する。男性の翻訳家では体験できない女性ならではの体験を、先生は数々生まれ落ちてから現在にいたるまでされている。そのことがきっと先生の翻訳の随所に込められている、豊かな日本語にしていると確信する。 とまれ、マイスターリーディングを終え、新たな気持ちでリーディングを再開しようと思っていた矢先、先生のお声が暗い部屋に聴こえてきたときの喜びは、雨が上がり分厚い雲間から光が差してきたかのようだった。

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