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2024-12-07

6日前の12月1日夜、名古屋のライブハウス徳三でおこなわれた、【土取利行&スパイラル・アームズ】のライブに想う。

 12月1日午後6時から名古屋のライブハウス徳三でおこなわれた土取利行&スパイラル・アームズのライブを体感して帰ってきて、体が、感動が新鮮なうちにわずかでも、記録としてきちんと打っておきたい、と思いつつ6日もたってしまった。

土取さんとの出会いから、たぶんこれまでの交遊年月46年間を想えば、ピーター・ブルックの舞台での音楽や、ソロライブ、ミルフォード・グレイブズとのコラボ、エリック・マリアとのコラボ、古武道とのコラコラボ、等ずいぶん体感し聴いてきた。

夢が原で私が企画した韓国の舞踊家、金梅子(キムメジャ)さんとのコラボ、同じ韓国のヴァン・スンファンプンムルダン(サムルノリ)とのコラボ、また添田唖蟬坊・知道の明治大正演歌、もう書かないが、ほかにレクチャートークも企画してしてきた。 だが、私があの夜体感した、土取利行&スパイラル・アームズのライブは、なんといっていいのか、今も言葉にならない、が何か打っておかねば。

これまでの土取さんの歩み(おおよそ55年)が、主にアジア、韓国、南インドやア西フリカの打楽器で、(多岐にわたり挑戦し続けて体得した異文化のその国の歴史を背景に存在する、文化遺産ともいえる打楽器の数々)演奏された。 現在、日本の音への探究が言葉となって溢れ、何故今パーカッショントリオ、スパイラル・アームズを20年ぶりに結成したのかにも言及された。のだが、だが、あの夜のライブの衝撃体験を言葉で記すのは私には到底不可能である。(だがわずかでも、五十鈴川だよりに遺しておきたい)

旅立ちは、フリージャズ、20代はじめニューヨークにわたってからの50数年の歩みが、演奏とともに、言葉でもって語られる。常識をぶち破る空前絶後のライブを、私は目撃体感した。土取さんの時に命をも顧みず、あの時代に異文化、アフリカ、インド、中近東の国々に飛び込み体得した未知の国の太鼓との出会い。武者修行、熱い思い出が奔流となって語られる。(終演後、ニューヨークに渡ってわずか3ヶ月の間に、生涯続いたミルフォード・グレイブズやピーター・ブルックほか、との奇跡的出会いが語られた) 私は土取さんのお話を聴きながら、自分のなかに湧いてくる言い知れぬ思いを押さえることができなかった。普通の一生活者として、今も限りなく学び、痩せた企画者として、時に折々背負いきれない思いも抱えながら、企画が続けられたことの幸運、我が人生に想いを巡らせ、今更ながらこのようにすごい真の意味でのアーティストであったのだという、唯一無二、前人未到の荒野を(未だ)黙々と歩む存在の神々しさに感銘を受けたのである。 一期一会のライブを体感できたことの幸運を、(この年齢だからこそ感じた、老いたなんて言っていられない)ただ五十鈴川だよりに打ちたいのである。

震撼するという言葉がある。雷に打たれるという言葉もある。年齢を超越するという言葉もある。まさに12月1日のライブは、そのような言葉がピッタリとでも言うしかない空前絶後のライブだった。老いるということを根底から覆すライブ、全身全霊、土取さんは輝いていた。 土取さんのドラミング、最後の久方ぶりのドラムセットでの演奏姿には、目頭が熱くなった。(悩み多き青春時代を生きていたある日、初めて土取さんのソロのドラミングを聴いた日の感動、からだと心の奥深くが揺さぶられた体験が甦った。若い私には衝撃的としか言えない、ドラミングの常識を打ち破る、パーカッションだったからである。私に限りない勇気を与えてくれたドラミングだった。遅まきながら私も世界に飛び出した) 未だ燃え盛る、老いつつも老いない、老いられない、何かが土取さんを突き動かしている姿を、私は眼底にしっかりと焼き付けた。なにゆえこのようなアーティストが生まれたのか。

お話も含め休憩なし、午後6時過ぎに始まり2時間半のライブ、メンバーの紹介が終わって、土取さんは再び語りはじめた。終わらないライブ。結局、新幹線に間にあわなくなるので、最後まで土取さんお話を聞くことが叶わず9時15分ライブハウスを後にし岡山までは戻れたものの、赤穂線最終には間に合わず、タクシーで我が家についたのが午前0時。タクシーで我が家についた。

PS 11月13日高松、14日岡山での打ち合わせの際に、来年春の企画、スパイラル・アームズのライブが2月1日名古屋であるとのことで、私はとにかく行ってきた。行って本当によかった。その日から今日まで、ただ私は生活労働者になり働いていたのだが、頭のなかではスパイラル・アームズのあの夜のライブが、渦を巻いて繰り返されている。10代、20代の若いかたに一人でも多く足を運んでもらいたい。そして老いてなお生きのいい方たちにも足を運んでほしい。そのための何ができるのか、何をしたらいいのか、師走じっくりと考える時間を大切にしたい。

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