今年も含めると22年間、私の企画を応援して下さる方がいてくださることに関して、これまで私のやってきた企画を、きちんと自分の頭と体で見届けてくださる方々と、我が人生で出会えたことにたとえようもない喜びを感じる。
還暦を境にということもないのだが、晩年は新しい出会いよりも、これまでの出会いをより深めてゆくための、顔の見える関係性に重きを置いた、企画をやりたくなってきた。もっと書けば、この方々と共に老いてゆきたいというような。
【オロ】と【祝の島】の2本の作品には、私がこれから老いてゆく中で、見失ってはならない人間の真の意味においての、少数ではあるが、豊かさを生きておられる人間がこのような時代、辺境の地にきちんと存在していることの崇高さを知った。私は打たれた。
18歳から世の中に出て61歳になり、ようやくこのようななんてことの無い普通の生活の豊かさを感知できる自分がいる。極めて穏やかな境地というと、いささか恥ずかしくはあれど、たどりつけたことに関して素直に嬉しい私である。ただ在り感謝するということの重み。
さて昨日、私の企画を10年以上応援して下さっている四御神(しのごぜ)で不動産業をされているA氏を、チケットの行商のために訪ねた。氏はいつものように懐深くいいですよ、両作品各5枚、10枚を即買ってくださった。
がその前に、氏を事務所で待っていたら、現れた氏が、いきなり今朝お墓参りに行ったら、アケビが鈴なりになっているのを見つけたので、採りにゆきませんかと私に言うではないか。即行こうと私は応え、軽のワゴンに乗り、彼の家に柄の長い剪定ばさみを取りにゆき、二人で氏の示す現場に赴いた。
そこで私は、生まれて初めてアケビのこれほどまでの見事な鈴なり群生を見た。しばしチケットの行商は忘れ、二人して(氏と私は同じ年)夢中でアケビ取に興じた。
わずかな時間、小学生に還ったかのように二人でアケビ取に夢中の時間を過ごした。かろうじて手の届く範囲のアケビしか採れないのだが、それでもポリ袋に二抱え位の収穫があった。アケビの王様というしかない見事な赤薄紫のなんとも言えない色と形。日本の秋の美の贈り物。
手の届かない所には、まだ沢山ぶら下がっていて、うらやましげなわれわれを悠然と見下ろしていた。その実が落ちてきっとまた来年も豊かな贈り物をわれわれに約束してくれるだろう。人間は小さく自然は偉大だ。
二人して小さい秋を見つけて、ほのぼの幸せな気分で現場を後にした。Aさん来年も二人でゆきましょうね。
秋空に薄紫の鈴生りのあけびですかぁ!お二人、とても愉しそうです。軽トラの中のご様子まで想像してしまいました。
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