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2022-08-20

【お盆過ぎ・雲の流れに・ものおもい】の五十鈴川だより。

 お盆を過ぎ、気持ち涼しくなり、夜明けも日々遅くなってきた。油断はできないとはいえ、古希の体でこの酷暑の夏を、午前中だけとはいえ肉体労働で、幾ばくかのというか、私にとっては、やりがいのある仕事で、実入りがあるというのはありがたくも嬉しいことである。

特にこの3年間、もしも肉体労働バイトがなかったら、きっとうつうつとした老人生活を余儀なくされていたかもしれない。ことほど作用に、この年齢でも、自分で言うのもなんだが、やっていると生き生きしてくる仕事があるということが、どれ程私の現在に潤いを与えてくれているのかは、自分が一番承知している。

そしてお休みの朝、五十鈴川だよりを打てるという、なんたる自己肯定満足感はいったいどこから来るのであろうか。このようなことを打つと、きっと嫌みなやつと思われるご仁もいるのではとは想うのだが、もう古希を過ぎた老人の呟きだとご寛恕願いたい。

文学の力にすがる古希の夏

自分で自分を大切にし、自分を愛せないものが他者を愛せるであろうか、といつも私は思案する。正直に打つ。この半世紀、そして今もだが、私は世間というか、この世の流れ、趨勢というものに、どこかしら懐疑的に生きている。極めて個人的に由来する性格を、自認している。

だがある日突然、37歳の時我が人生にそんなことはいっていられない劇的出来事が起こったのである。娘が生まれたからである。この時を境にきっと私のなかでなにかが劇的に変わったのである。虚無だ懐疑だなどと言っていられなくなったのである。娘の存在は頭でっかちの私を吹き飛ばしたのである。

有り体に言えば、ただただせめて二十歳まで育てねば大変なことになると思ったのである。さっさと転向した私、虚無的懐疑的自分とはおさらばしたのである。(その後行き詰まると私は今も無節操に転向している)人生ではじめて心からの希望のようなものが沸々と沸き上がって来たことを、私はいまだ、ついこの間の出来事であるかのように思い出すことができる。

あれから今日までひたすら自己満足的に、自己肯定的に自分をまずは大事にいきるということを第一義的にいきるように勤めている。そのような私の勝手な思い込みをまったく別にして、親バカ丸出しだが、娘はすくすくと育ち、先日33歳になり、彼女の息子は4才になった。

もう臆面もなく、これからは打てるときに思い付くあれやこれやを即興的に打つ。世の趨勢がどうであろうと、一寸先何が起こるのかわからない不確かな極まる時だとはいえ、(いやだからこそよけいに)せめて自分の手の届く範囲は、責任、希望を持って生活したいといういわば幻想のようなものを古希を迎えてなお、ふかまる私なのである。

そして、身近な大事な他者との繋がりこそが、私の世界のすべてではあるものの、いまだ言葉を交わしたことのないこの世に存在する無数の他者との繋がりも、どこかで想像力の羽を広げ、妄想老人は今をいきるのである。(他者の存在あってのおのれなのである)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

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