書き終えるころには、陽はまた昇っていることだろう。ところで出口治明先生が推薦されていた、気鋭の脳科学者、池谷雄二氏の書かれた、【脳には妙な癖がある】という本をほぼ読み終えた。
読みやすいが内容は深く時間をかけて書かれている |
一言非常に面白く、興味深く読めた。5億年の進化の果てに、現在の脳があり、それもまたあまりに複雑な集積回路としての脳に関して、この20年くらい世界中の脳科学者が、デジタルテクノロジーの発達の中で、その神秘を解明すべく、日夜取り組んでおられるということが、凡夫の私にもよくわかった。無知を深く自覚すれば、このようなご利益がある。
繰り返しひも解くに足る本なので、文庫が出ているので求めることにした。個人的に、老いてゆく自分の身体に興味というか、関心を持っている私には、必要な本だと思えた。
何よりも読み進むうちに、著者の脳科学に取り組む真摯な姿勢が、よくわかり、スリリングフルに読み進むことができた。
深く腑に落ちたのは、人の心がどれほど身体や環境に支配されているかということ、をのべておられている。心は脳に在るのではなく、身体や環境に散在していると。
常々、身体あっての物種、こころだと声を出しながら感じていた私には、大いなる共感を覚えた。体が痛いと心も痛いのだ。これ以上書くのは割愛、関心のある方は本を是非読んでいただきたい。
話は変わる。一昨日の日曜日、久方ぶり、妻が見たいという映画あるというので、なんの予備知識も先入観もなく、ファティ・アキン監督【女は二度決断する】というという映画をシネマクレールに見に行った。
ダイアン・クルーガー主演。ファティアキン監督 |
ダイアン・クルーガーがカンヌ映画祭で主演女優賞を撮った作品であることもあとで知った。全編彼女の演技に感服した。狂ったかのように皮膚感覚で演じる凄さ。
突然夫と息子を、テロでなくした妻の慟哭。移民問題とテロ、皮膚感覚でEU各国が抱え込んでいる現実問題が、(無駄なく水面下で)ドイツのハンブルグ移民街を舞台に描かれる。
アキン監督はトルコからの移民で現在はドイツ国籍を取得している監督である。日本人である私には、正直皮膚感覚で遠い移民問題だが、そんな能天気なことは言っていられない状況がひたひたと、避けられぬ問題として我々の眼前にやってきている。
重いテーマなのだが、エンタテインメントとしてサスペンスフル、それを超えて、何かを感じさせる映画、それを感じさせるのはダイアン・クルーガーのリアルな神業的な演技力というしかない。
もし、私がある日突然家族を失ったら、どうなるであろうか。夜が明けてきた。
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