父の日、娘たちに頂いた靴 |
激しい雨音が聞こえる朝です。台風が近づいているせいだからだが、梅雨時の台風は大雨をもたらすから、各地での災害が少ないことを、祈るばかりである。あらゆる天変地異に対しては、私は無力感を覚える。備えはしても、大いなる何かに巻き込まれたら、いたしかたないとの思いに、この年になると、そういう心境だ。だから、今日一日を、きちんと生きたい。
さて、永遠の泉、藤原新也さんの原作のドラマ。テレビでドラマを見たのは何年振りかでした。妻と二人で見ましたが、静かに私のほほを、涙が流れてゆきました。テレビドラマでしかなしえない世界が、美しいカメラワークで創られていました。俳優たちの演技が素晴らしい。生と死を見据える、二組の夫婦の人間の物語。夫婦とはなにか。そこに若いカップルが絡み、親子の在り方も提示される。
人間が生きて、死を迎えるまでの、(安易な言葉には置き換えられないほどに、あえて書けば、崇高というしかない)長い歳月、日々のドラマを繰り返しながら、人間らしく生きるということ(の困難さを)をこのドラマは、語りかけてくる。
絶望からの再生は、ヒトとの出会いによって、救いの光が見えてくる。ドラマのタイトルの湧きでる泉は、象徴的だ。人間の営みとは関係なく、命の水は湧き出る。われわれは水の惑星に生を受け、最後は死に水を、口に含み生を閉じるが、死は終わりではないことを、このドラマは示す。
良い作品を見た時には、身体の中に浄化作用が起きる。寺尾聡さんの顔のアップが度々でてくるのだが、皺がいい、美しくさえ感じられるのである。何か歳を重ねてゆくことは当たり前のことであるのに、若いということのみが、編愛されるかのような時代の風潮だが、私はおかしく感じる。青春があれば、老春もあるのだ。外見に惑わされてはいけない。
登場人物たちが、再び生活を(仕事に帰る)始めるラスト、動きはじめる、いきいきと。
私も美味しい水を頂き、今日を生きる朝です。
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