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村田喜代子さんの本はじめて手にした |
ややもすると、この年齢になると当たり前だとは思うが、体力が落ちると回復も長引く。だがそこをいかにして前向きに工夫し知恵を絞り、養生してゆくのかそこが思案のしどころである。この二日間ひたすらじっとしていたお陰であきらかに体は回復している。その喜びが五十鈴川だよりを打たせる。
話は変わるが、今朝妻が今治NHK放送局製作の、前サッカー日本代表監督の岡田武史監督のインタビュー番組を見て、見るのを薦められたのでNHKプラスで見た。今治でサッカーチームのオーナーになって丸10年の岡田武史さん(現在68才)の歩みがスタジアム完成として結実した。
地方で、この経済が疲弊した時代にである。一人の男の途方もない夢が、格安の、だがしかし本当に地域に根差した、人々の心が美しいスタジアムとして完成する。スタンドから街、島々、海が望める。岡田武史さんは借景が素晴らしいスタジアムと言っておられた。この借景はいくらお金を積んでも買えないものである。
一口に10年という地道な時間の積み重ね、ローカル今治で、ゼロから途方もいない夢に向けての地道な取り組みの過程が、短い時間で編集され、よく伝わってきた。何よりも武骨で口下手な岡田武史さんのお人柄に感動した。何よりも明確なビジョンとたぎるような情熱、意思と支える仲間がいれば夢は叶うのである。そのことをあらためて知らされた。
人間を人間足らしめていることの大きなひとつに、感動するということが欠かせないという気が私はするのだが、妻がよかったというので見る気になったのだが、今年最初によき番組に出合得たこと、それも体調が万全ではないなかで見ることができてよかった。サッカースタジアムが完成してお礼の言葉を地域の方々にのべる際に、あのクールなイメージの岡田武史さんが、感極まって涙を流された時には思わず私ももらい泣きしてしまった。
人は自分のためだけでは、そんなに頑張れない。他者の喜びのため地域の喜びにこそ頑張る勇気がわいてくるし、これからの時代は自分の頭と体で考えて動ける人間でないと生き延びることができないと、岡田武史さんは語る。まさに前例なき危機の時代を乗りきらなくてはならないのだ。その非凡な日本の未来を憂える危機感が、58才からなりふり構わず、未知の今治で悪戦苦闘、従来のサッカースタジアムでは考えられないほどの低予算で完成する。地域住民がサッカースタジアムで生き生きと交流する場所としての再生機能を果たす。
10年前、ことサッカーのことだけに留まらず、日本の未来に、特に若者の未来に強烈な危機感を感知した岡田さんは、なんと私立高校の校長先生までを勤め、教育の現場の再生にまで取り組んでおられる。発想がまったく新しい。世界相手に従来の紋切り型教育(サッカーを含め)ではまったくダメであることを岡田武史さんは深く認識している。
昨日の五十鈴川だよりで触れた佐藤勝さん、方や分野はスポーツではあるが、すばらしく共通するのは未曾有のこれから先を生き抜いてゆく新しい日本人の教育に全力を注いでいることだ。点取り虫ではない教育の必要性、危機感を心から憂えていること。そして単に憂えているだけではなく、どうすれば克服できるのかを、お二人してその方法を実践していることである。
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