昨日は朝雨だったので、ゆっくりと五十鈴川だよりをうち、雨が上がったので、ポスター配布の小さな旅に出掛けた。行く先は美作は大原町にすむT氏。氏に電話をいれると2時間はかかるという。だがこのようなことがないとなかなかに大原町までは出掛けて行くチャンスがない。
いつもわたしの場合思い付いたら吉日、なので、思い付いたことを有り難がることにして、春到来の山野を眺めながらのドライブ旅をしようと決めたのである。T氏との出会いは20数年前のとあるパーティである。以来君子の交わりが淡く続いている。61才、もうこれが最後の企画だと思ってやった、西大寺の観音院での土取利行さんの音楽会に家族で来てくださったことが、記憶に強く残っている。
氏からの手紙でいただい |
あれから10年再びわたしが企画をすることになったので、この機会にお顔が見たくなったのである。人間の縁とは不思議なものである。そんなにあった回数は多くはなくてもその存在感が、わたしを宮本武蔵の里に住むT氏に会いにゆかせるのだから。
人気の少ない曲がりくねった道を運転し続け、途中高速も少し利用氏ながら12時半に武蔵の生まれた大原町の武道館に着くと、すぐにT氏がやって来て、10年ぶりに再会が叶った。少し肌寒かったが、つかの間T氏は竹山城跡や、武蔵神社の武蔵のお墓始め、武蔵にゆかりのある建物や場所を、短い時間ではあったが、熱く説明してくださった。
T氏は中学時代から、武道に励み、今も宮本武蔵の二天一流を修練されている武芸の道一筋の好漢で、私とは対照的なお人柄なのだが、なぜか不思議と縁が切れずに続いているご仁なのである。(お会いした瞬間の立ち姿に今を生きている氏の清々しさがじかに伝わってきた)
短時間ではあったT氏の実直な人柄に再び触れることができ、やはり思い付いて大原のさとまで運転してきてよかったと、わたしは思った。利害関係等が全くなく、還暦以降もふと思い付いて会いたくなる人がいる人生が数は多くなくてもわたしにはいる。その事のありがたさが、今回の企画ほど染みることはない。
だからなのだ、効果はうすくとも今回のポスターを、大切な方たちにはできるだけ、今自分が熱く取り組んでいる記念に直接届けたいのである。
出会いとは、まさに宝であると改めて想い知らされる。何と氏は周辺地域に配布してほしいとのわたしが無理を頼んだポスター50枚を、分かりましたと静かに別れ際受け取ってくださったのである。T氏の今時珍しい暖かさ懐の深さにわたしは打たれた。
お別れし、その足で津山を回って大好きな相撲をラジオで聴きながら帰路についたのだが、わたしの心はポカポカ、平凡で穏やかな関係性、幸福とは細部にある、その言葉を噛み締めた春の配布旅となった。
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