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2022-05-21

大相撲、今場所の佐田の海の相撲とインタビューには感動しました、そして想う。

 私は相撲が大好きである。オーバーではなく相撲には人生で大事なことがすべてあるのではないかという気がする。人間の、まさに根源的な強さや弱さや、あらゆる諸相が、おりおりの瞬時の攻防のなかにかいまみえる気がするからである。なんとも形容しようがないほどに厳しい勝負の世界のなかで力士たちはまさにしのぎを削る。

辛抱と愛こそが佐田の海の相撲だと思える。

すさまじいという他はない世界である。土表情ではまさに鬼の表情ではあるが土俵を降りるとまるで仏様ででもあるかのような柔和な表情に変わる。いつも不思議に思うのは番付が上がるに従って面構えがよくなってゆくことである。まさに地位が人を作るのだと、多々感じる。

よく心技体というが、そのすべてが整わないと強い相手には勝てないのである。相手に勝つ前に、自分を律して現在の自分にまず何が足りないのかを、素直に省みる力と補う努力を日々研鑽しながら生活しない限り、今の地位はすぐに他の力士に奪われてしまう、なんとも厳しい社会なのである。

これは他のスポーツや、人間社会生活のなかでも言えることなのかもしれないが、相撲には赤裸々に力士たちのおかれた厳しいというしかない心理状態が浮かび上がるきがするのだ。テレビというものが我が家にやって来て以来、おおよそ60年相撲を見続けている。

歳を重ねるにしたがって、一段と相撲の妙味を味わい深く感じられるようになってきた自分がいる。ありとあらゆる工夫をしながら小兵力士が、上位の強い相手に向かってゆく姿に時おり言い様のない感動を覚える。特に怪我をして番付が下がり、怪我を克服して再び活躍する姿など見ると、訳もわからず偉いと応援したくなるのだ。

土俵には本当に人生がつまっている。照ノ富士他私の好きな力士が最近多いので、どうしても食い入るように見てしまう。そしてその力士たちから無言のエールを勝手にいただく私なのである。今場所は残すところあと二日だが、3杯力士が4人並んでいて目が離せない。特に佐田の海35才である。昨日自身幕内で8年ぶり、2度目の10勝を35才にしてあげたという苦労人力士である。

度重なる怪我や、恵まれない体重差のなかで、へこたれることなく努力精進した結果が、今場所見事花開いている姿を、目の当たりにしている。長い不遇時代も必死で相撲をとっている姿を私は見続けてきたので、今場所の佐田の海はまるで別人ではないかと思えるほどである。先日勝ち越しのインタビューを聞いて心から感動した。

年齢の事を言われるが、相撲人生で今が一番体調がいいと。その上で長いこと相撲をとっているのだからその体験の積み重ね、今が一番強いと思っていると、答えたのである。私はその言葉に打たれた。今が一番と堂々と受け答えられる人生、他者に感動を伝えられる人間とは、才能のあるなしではなく、自分自身に与えられた唯一無二の体を磨いて、自分を信じて努力したからこそ今場所の素晴らしい活躍があるのだと、わかった。

相撲に迷いがなく、勝手も負けても清々しい。まさに邪心なく全身全霊で相撲をとっている。なかなかにはできない、だからこそ人の胸を打つのである。そして何よりも一番感動するのは相撲が好きだから、愛しているからこそ続けられて、花開いたということである。古希を迎えて相撲からおそわることはとても多い。体をはって生きている人間が私は好きである。その姿を見ることができて私は幸せである。

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