写真が横になっていてすみません |
ピーターブルックは、私がかってに影響を受けた、尊敬するというか、畏敬する演出家である。
二十歳の時、ブルックの演出作品【夏の夜の夢】を見た時の衝撃は私の芝居に対する見方(生き方も)を変えた。
いま振り返ると、私の生き方に大きな影響をあたえたのだということがわかる。
ブルックの舞台に出会わなかったら、おそらく無知蒙昧なる単なる田舎者が、英国に自費留学をするという、私にとっての夢のような想いは湧いてこなかっただろう。
純粋な若い時にしか反応しない感性のばねのようなもの、タイミングがあり、ブルックの奇蹟の舞台で、私は遥かなる見果てぬ世界に連れてゆかれたのである。
狭い島国のこんなところでくすぶっていてはいけない、今この時期を逃したらきっとのちに後悔すると、若い私はおもったのだ。
大いなる不安を抱えながらも、とにもかくにも広い日本以外の世界を、若いうちに体感したかったのである。絶対矛盾を抱えながらの青春時代。
父は繰り返し言っていた、若いうちの苦労は買ってでもしろ。この言葉はとくに若い時に私の頭の中で何度も響いた。何度も挫折したのだが、何とか生き延びている。
振り返ると綱渡りのように、時代も運も味方してくれたのだということを、いましみじみ感じいる。
高齢にもかかわらず、今も現役でみずみずしい舞台を創造し続けるピーターブルックには、驚嘆する。あれから40数年の歳月が流れたが、新作をなんとか観にゆこうと思っている。
この舞台の音楽監督であり、演奏者である土取利行さんにもブルックの舞台作品を通じてであった。この方からも私は多大な影響を受けた。そしてそれは今も続いている。
本質的な人間存在の真の意味を問い続ける、ピーターブルックの劇的想像力の舞台世界を、観ておかねば、きっと悔いが残る。
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