前回の五十鈴川だよりは、東京吉祥寺駅のマクドナルドで打ち、今日は自宅のいつもの二階の部屋で打っている。3日、午後二時から、八王子の駅の側のホールで東京交響楽団の定期演奏会を聴き、東京駅で新幹線に乗り換え、岡山の我が家に着いたのが、午後9時過ぎだった。翌日から昨日まで、珍しくフルタイム午前も午後も働き、今朝を迎え、五十鈴川だよりを打っている。
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| 細胞に染み入る音色 |
ちょとだけ、3日の東京交響楽団の定期演奏会にゲストで招かれていた、千住真理子さんの演奏を初めて聴いたことに、触れておきたい。
夏が終わり秋が訪れたいころ、千住真理子さんの[継続する力]と言う本を読んで、チャンスがあれば、是非とも演奏に触れて、聴いてみたいと調べたところ、ちょうど旅の終わりの日に、ゲストだが八王子で聴けると知り、妻の力を借りて、チケットをゲット押さえることが出来、旅の終わり、聴くことができ。
開演、何と一部に、ハープとヴァイオリンの二重奏、千住真理子さんがいきなり登場、ストラディヴァリウス、デュランティというヴァイオリン、名器を演奏する千住真理子さんを、初めて見た。そして聴いた。なんとも形容し難い音色であった。
曲は、[バッハとグノーのアヴェマリア]。この歳で旅の終わりに、体感できたことの喜びを、打っておく。想像おも超えた音色が老いた私の体全身に染みてきた。優しくやさしく、この世の音とは思えない音が降り注ぐ。そのあまりの素晴らしさは、言葉では伝えられない。しずかに老人の眼に涙が。
プログラムノートから、ビターリのシャコンヌ、エルガーの愛の挨拶、クライスラーの愛の悲しみと愛の喜び、マスネのタイスの瞑想曲、モンティのチャルダッシュ、以上七曲。私はこのところほとんどクラシックの演奏会に出掛けたことがないのだが、千住真理子さんの本を、読んだことで、なんとしても、この方の演奏だけは聴かないとという、(一生悔いが残る)気持ちにさせられたのである。
結果、私の直感(直観)は大当たりとなった。期が熟した年齢、縁、タイミング、すべてが私に味方したのだとしか思えない。音色の祝福が、当日居合わせた聴衆全てのかたに降り注ぐのを体感した。あれから5日間の時間が過ぎたが、あのストラディヴァリウス、デュランティを弾く、名曲を奏でる千住真理子さんの、姿、音色が、時折脳裡に浮かぶ。
それは選ばれし者のみしか演奏なしえない音、初めて聴いた音色である、としか言えない。音の女神、ディーバとでもいうしかない、ある種この世のヒトとはおもえないほどの品格、雰囲気を、まぎれもなく、千住真理子さんは湛えていた。
クラシック音楽に関したことだけではなく、あらゆることに関して、素養のなさを今更ながらに折々感じる私である。が、そのような私が千住真理子さんの演奏を縁あって聴くことができ、クラシック音楽の素晴らしさを、今後もっと聴きたくなっている。ストラディヴァリウス(この名器を弾きこなせるのは選ばれしヒトにしか成せない)。千住真理子さんはデュランティと巡りあう運命の選ばれし人である。
今月15日には、下関での音楽会に妻と出かける。勢い、いきなり私は千住真理子さんのファンになってしまったようである。千住真理子さんを通して、クラシック音楽の素晴らしさを老いつつ我が体は、ようやくにしてより深く感知し始めたのである。推し活なんて若い人の言葉だと思っていたが大間違いである。私にだって訪れるのである。猪風来さんご夫妻もわたしの中では、宝である。
今回の小さな旅は、大きな旅になったように思える。今後、これからいかに時を刻んで日々を歩んでゆけば良いのかの方途のヒントが授けられたような。だから、心と体がが動く間は旅に出かけたい。

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