先週金曜日から二泊三日、妻と共に、下関まで千住真理子さんの、デヴュー50周年記念、ヴァイオリンリサイタルを聴くために行って来た。
昨年から、行けるときに年に数回妻と旅に出掛けることにしている。ネットで千住真理子さんのコンサートが下関の市民会館前であることを知り、二人で旅を組み立てた。旅の目的のメインは千住真理子さんのコンサート。ただ行って帰るだけでも充分なのだが、結果選択したのは本当に久方ぶりの車での二人旅となった。
記録として打っておく。金曜日朝7時前に家を出て、高速は使わず、吉備路を走り、真庭から出雲街道を走る。天気も良く山野の色づく紅葉を、老夫婦眺めながら低速での空いた道を快適ドライブ、妻も私も行ってみたいと思っていた足立美術館に午前10時過ぎについて、お昼までゆっくり過ごした。(ゆく価値あり、日本の山野の素晴らしさを切り取って額縁に入れ、それが毎日変容、移ろってゆく様を堪能できる。日本に生まれたことの幸福を感じた)
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| 出雲教の池で妻が撮る |
美術館を出て、出雲に向かう途中のラーメン屋さんでお昼を済ませ、出雲大社に午後2時半に着いた。私は2度目だが妻は初めてである。お詣りしたのち、一時間以上ゆっくり二人で付近を散策した。人っけのないすぐ側の、出雲教の神社が素晴らしく、(小さな滝が池に流れ落ちていて、飛来した二羽の鴨が仲良く浮かんでいた)その時私たち以外誰もいなかった。出雲大社での良き思い出となった。
午後4時妻が予約してくれたホテルにチェックイン、夕飯前、ネットでホテルから10分のところにある天然温泉を見つけ、湯にゆく。戻って午後6時からホテルで夕食を済ませ、9時過ぎ眠りに落ちた。
翌日土曜日、朝食を済ませ7時に下関を目指しホテルを出発、またもや高速は走らず、9号線を走る。出雲から浜田、益田へ。益田から萩までの日本海の海岸線の眺めが素晴らしいのは、故郷への帰省旅で度々走って知っていたので妻に見せたかったのである。(妻はことのほか喜んだ)
萩から山道を横断し宇部に出て、そこから下関に向かって一路走り、午後零時半市内に着いた。市民会館の近くに車を入れ、駅近くで二人してカレーでの簡単なお昼を済ませ、開場の午後一時半市民会館に着いた。午後2時オンタイムで千住真理子さんの、デヴュー50周年記念ヴァイオリン、リサイタルが始まった。
11月3日に、東京八王子で初めて千住真理子さんの演奏を聴いて、びっくりしたことは、わずかだが五十鈴川だよりに打った。あの日から12日後、再び聴くために下関まで足を運んで(すでにチケットを押さえていて)本当によかった、と今も思う。それほどに凄かった、としか言えない。
八王子では東京交響楽団定期演奏会のゲストであったので(それでも七曲フルオーケストラをバックに演奏された)お声を聞くことは叶わなかったのだが、下関はご自分の歩みの、現時点での集大成記念リサイタル、伴奏はピアノだけのシンプルさ。全曲本人の解説やお話があり、なんとも贅沢なリサイタルであったことを、五十鈴川だよりに打たずにはいられない。
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| 萩の近くの海辺の妻 |
50周年記念に演奏された曲目は、一部バッハのG線上のアリア、ヘンデルのラルゴ、モーツァルトのトルコ行進曲、ベートーベンのヴァイオリンソナタ第5番春。二部、エルガーの愛の挨拶、クライスラーの愛の悲しみと愛の喜び、マスネの瞑想曲、ドビュッシーの月の光、ポンセの小さき星に、サラサーテのツィゴイネルワイゼン。以上11曲 がプログラム。が、カーテンコールに何と3曲演奏されたのである。一番最後はチャルダッシュで締めくくられた。私は立って拍手をした。
長くなるがもう少し打っておく。下関市民会館は2000人が入る大ホール。そこの半分から前の席、1000人位の人が客席を埋めていて、後部座席にはだれも座っていなかった。が聴衆が私を含め、1000人の人間が感動していた。曲、演奏が続く毎にホールがえもいえぬ雰囲気に(幸福感)に包まれてゆくのを、私は客席で実感した。
そこにはクラシック音楽というジャンルを越え、ストラディヴァリウス、デュランティの音を弾きこなし(デュランティとの廻り合いは40歳)50年、名曲を聴いてほしい、演奏を届けたいという念い、祈りの深さである。
凄まじいまでの稽古、デュランティと格闘してでてくる音色の素晴らしさは異次元の音である。ヴァイオリンと共に生きて、人生を捧げてきた、千住真理子さんという存在だけが醸し出せる音の世界である。妻は泣いていた。終演後CDにサインしていただいた。
その夜、関門海峡が眺められるホテルに泊まり、翌日は萩の阿武町の道の駅に立ち寄り、お昼のお弁当などを求め、その後どこにも立ち寄らず、萩から益田までは再び海岸線を走り、そこから山道を走り、広島へ。途中から高速で尾道から山陽道へ入り日曜日夕刻四時半に無事に我が家に帰った。
PS 今、このところ千住真理子さんの書かれた以前の本を生活の合間に、ゆっくりと読んでいる。


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