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2012-07-21

坂口恭平さんの本に出会いました


遊びをせんとや生まれけん・子供のような好奇心満載の彼の本

0円ハウス、というタイトルの新聞記事が目に飛び込んできたとき、私はすぐの新聞記事を切り抜いた。



先日上京した時、東京駅の北口にある丸善の4階に、松岡正剛さんの選んだ本のコーナー(松丸本舗)がある。上京したら、私は必ずここに立ち寄る。私が畏怖する読書人であり、世界を編集することを、意識的にやり続けておられる、知的巨人が選んだ本の数々が、現在進行形で棚ぞろえしてあり、迷路のように、書物の宇宙をさまよえるような空間になっていて、私のお気に入りの場所なのである。



さて、あまり時間がなかったのだが、企画者として絶対ゆかなければアンテナが、錆びついてしまうような気がする私としては、開店早々のまだお客の姿もまばらな気持ちのいい空間を、30分近くさまよっていたら、0円ハウスの著者の坂口恭平氏の本が、無造作にぽつんと横に置かれているのが眼に入った。この本の置き方がにくい、遊び心満載。



見た瞬間、新聞記事の著者だとわかったので、すぐに買い求めて、帰りの新幹線の中で読み始めたのだが、これがなんとも痛快な発想と、希有な行動力、実行力の持ち主でしか書けない、ユニークな本というしかない事実に、私はいささか虚を突かれ、還暦おじさんとしてはそのしなやかさ、若さに、素直に感動したのだ。



これから先のことはともかく、とにもかくにも、マンネリもここに極まれりというくらいに、時代の閉塞感、硬直化、思考停止が進む中でこのように、まさにアスファルトを引っ剥がし、風通しのいい、原っぱの思考を運んできてくれたという意味では、まさに時代の寵児、ある種の天才の出現とも呼べる気がしている。



いつの時代も若者が時代を変える。著者ほどの視点も、発想力もない私ではあるけれども、かなりの部分に共感どころではなく、まさのそうだそうだと膝を叩き、久しぶりの爽快感が私の身体をまさに風のように吹き抜けたのだ。



何よりも五十鈴川だより、でお伝えします。検索して自分の感性でご確認ください。書きたいことはいろいろあるのだが、原発問題にせよ、あらゆる諸問題に、戦わないという姿勢に一番共感を覚えます。



蛇足だが、このかけがえのない水の惑星は、お金で成り立ってはいないのである。私は愚かな人間であることを自覚しています。お金は人間の幸福追求のために使うものなのです。坂口君が実践しているように。



私の人生の残り時間、日高事務所を立ち上げた意味、今後の企画の芯、方向性がかなり鮮明に見えてきた気がします。お金では買えない気持ちのいいヒトやモノとの関係性を再構築、発見する。



あらゆる芸術や、文化は(洞窟壁画の時代から)何よりも人の心のバランスのために、必要不可欠であったのだと思います。大いに若い坂口君から学びながら(彼が出会ったユニークを通り越した、路上の生活実践者たちを私は尊敬する)、これからの人生をなにはなくともささやかに温かく充実させたいと思わずにはいられない。

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