2001年1月22日、お亡くなりになったマルセ太郎という知る人ぞ知るがいる。この方の娘、梨花さんが昨年11月、22年の歳月をかけて、【マルセを生きる】という本を上梓した。
その本を読み、一人でも多くのかたにマルセ太郎という比類のない芸人の存在を知ってもらう、DVDの上映と梨花さんのトークでの出版を祝う企画をやることに決めた。日にちは6月16日場所は私が働いていた中世夢が原の神楽民俗伝承館である。下記の一文は私が私がそのフライヤーに寄せたものである。
2023年11月、故マルセ太郎さんの娘、梨花さんから【マルセを生きる】という 芸人マルセ太郎に魅入られた人たち という副題のついた本が送られてきた。知る人ぞ知る芸人マルセ太郎が亡くなったのは、2001年1月22日、あれから22年の年月が流れている。私はかけだし企画者として40代半ばたまたまマルセさんを二度企画している。いずれもスクリーンのない映画館。まるごと映画をマルセさん独自の視点で切り取り語る、これまで誰もやったことのない独創一人芸である。最初は働いていた中世夢が原の神楽民俗伝承館で、小栗康平監督の泥の河を、二度目は私の住む街西大寺の五福座での黒澤明監督の生きるである。マルセを生きるに収められているほとんどの方が書かれた文章はマルセさんが没した年に書かれたものである。ご縁があったことで私も拙文を寄せた記憶があるのだが当時刊行には至らなかった。しかし、梨花さんの父マルセ太郎に対する畏敬の念と、このままマルセ太郎の誰もなしたことのない未到の荒野を敢然と一人行く芸の世界を、このまま埋もれさせてはならない、との一念は時が経つにつれ深まり、梨花さんの中で熟成発酵し(梨花さん、息子竜介氏のコラムが素晴らしい)【マルセを生きる】という見事な結晶となって忽然とマルセさんが甦ったのである。見事という他はない。私はこの本を手にして一言理屈抜きに感動した。そして72才の私に今やれることは何か、考えた。結果、私はマルセを生きる出版を祝う、マルセ太郎のDVD上映と梨花さんのトークをやることに決めたのである。その第一回の場所として私が選んだのは、マルセさんが泥の河を語った場所、中世夢が原の神楽民俗伝承館である。故マルセ太郎を知っている人はもちろん、知らない若い人にも是非足を運んでほしい。歌の文句ではないが、私の希望(ねがい)はただそれだけである。
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