私はリアルな(何をしてリアルという定義は主観的にして)映像作品の映画が好きである。それと自分の性格とははなはだ異なるが静かな作品に惹かれる。
とくにこのところの魑魅魍魎的な、予断を許さない時代の趨勢のさなかの、うわっついた人心にいたずらに刺激を与え続けるような、映像トリック満載のハリウッド的映画 には、まったく食指がうごかない。
映像言語でしか表現できない、その監督ならではの信念に裏打ちされた、ワンカット、ワンカット、シーン、シーンに魂がこもっている映画にひかれる。
何度も書いているが、言葉による説明の少ない。想像力を限りなく刺激する作品が私は好きである。そういう意味で、【みかんの丘】【とうもろこしの島】の両作品は、素晴らしく見ごたえがあり、限りなく無駄がなく、映像が染み入ってきた。
両作品ともグルジア(ジョウージア)という国が舞台。日本人の私の感覚では、理解するのが不可能というくらい民族や宗教が歴史的に複雑に絡まる国の映画である。
くどくどと書くことは控えるが、初老の私の心を揺さぶる、このような素晴らしい映画を創る人間が存在する国がグルジアなのだということが、こころに刻まれた。
ラスト、老人と孫である思春期の少女 がゼロから創り上げた、(どこの国にも属さない、自然が創り上げた川の中に浮かぶ中洲の島)とうもろこし畑の島が流される。すごいラストシーン。(チャンスがあったぜひみてほしい)
今朝竹韻庵で採ったタケノコの赤ちゃん8センチくらい |
老人と少女の演技を超えた演技というか、存在感が素晴らしい。世界には何と表現力に満ちたすごい俳優がいるものであるかと、驚嘆する。
省みて日本人俳優の・・・。これ以上書くと変なことになるので止す。いい映画を見たり心から感動する芸術作品にふれると私はひとりになりたくなる。
映画館を出るとそとは冷たい雨、駅まで歩いた。世界には冷たい雨や、苛酷さの極みや困難を今も生きざるをえない、天文学的な人々が存在する、想像力を磨かなくては。
このようなお金にならない映画を上映してくれる映画館に足を運ぶくらいのことしかできないが、実感的に理解するには遠い邦の映画であれ、何はともあれ見て考え続ける、気力、体力を普段から養わないと、知らず知らずのうちに、私自身もわけもわからぬ大きな力に流されてしまう危機感に襲われる。
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