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2022-06-23

【AI支配でヒトは死ぬ】という養老孟司先生へのインタビュー本を読みました、そして想う。

 この数日、AI支配でヒトは死ぬ、という本を読み終えた。バカの壁で有名な養老孟司先生へのインタビュー本である。聞き手は浜崎洋介という私の知らない方だが、読みやすいのですぐによみおえてしまった。

虫の視点で考える

【AI支配でヒトが死ぬ】という本のタイトルに引かれて図書館でてにして読みは終えたのだが、養老線先生のおっしゃっていることを、どれだけ理解しているのかは置くとしても、私はなるほどなあ、とそのあまりの自在に発言される言葉のいちいちに、同感、共鳴、うなずくことが多かった。

森のなかに静かにたたずむ賢者とは、養老先生のような方なのではないかと私には思える。そのあまりの博識と、あのご年齢で自由自在に言葉で理路整然と語られるいちいちに。私はどこかで、大いなる府に落ちる味方の存在を、読んでいる間、感じ続けていた。

この現代社会の抱えるあまりの閉塞感や、分断か、自縄自縛とでも言うしかないほどの、どん詰まり感を、明晰という他はない知性で、わかりやすく話してくださるのである。このような方の存在が、いまの私にとってどれ程有り難いか計り知れない。

便利になればなるほどシステム化されたなかで、ヒトは自ら考える力をどこかに置き忘れてゆき、自分自身の体で考えてゆく根源的とも言える作法のようなもの、誰でもが当たり前に持っていた暗黙の常識的な思考が失われてゆく、現代社会の抱える雑多な諸問題に、まるで本当に解剖学者そのものといった感じで、鋭くブラックジャックのように、快刀乱麻されるのである。遺言という著作もおか気になっているので、これは買って手元に老いておかねばと思っている。

養老先生はM新聞の書評欄でも時おり推薦図書を挙げておられるが、先生の一押し本は、かなり専門性が高い本が多いのだが、いつだったかもう相当に昔、中村哲先生がご存命で、中村先生のご本を書評で取り上げられておられて、深く感動した覚えがある。以来私は先生の発言やご本に接しながら、いまをどのように生きてゆけばいいいのかの座標にしている、のだ。

無思想の発見という言葉に触れたときも、どこかで自分が安堵した記憶がある。そして何よりも自分自身の体で考える。唯一無二の自分の体でものに触れ、物事に立ち向かって学んでゆくことの大事さを、いまも私は先生のお言葉から学び続けているのである。

人の言葉に影響を受けても、自分の体でかみ砕き考え、体が内側から発する声に耳を澄ます感覚を大事にするということである。ちょっと飛躍するけれど、例え世間とずれていても、折り合える範囲のずれならば、自分の体が正直に気持ちのいい方向に歩を進めるのである。

長くなるのではしょるが、犬も歩けば棒に当たるとでも言うしかない人生を歩んで、いまをなんとか生きている私としては、繰り返すが養老先生はまさに信頼に足る先生なのである。

私は先生の発言される言葉に大いなる勇気をかってにいただいている。バカの壁をこえて、足元で場を構え、自由自在にまずは日々の生活圏で自足するのである。

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