あとは来週数日、昼間のアルバイトが残るだけである。気分としてはもうほとんどオフモードである。
オンとオフを生きている間は永遠に繰り返す。これから歳を跨いでのオフタイム時間が格別にうれしい。今年は何やらいうに言えないほどに、私の内面がやささやかにに変化しつつある自覚があるからである。
よく生きるためにはよく休みつつ、インプットとアウトプットの 加減のバランスが、私の場合つとに必要である。
(今年は年内お墓参りに帰ることがかなわなかったが、来年旧正月までには時間を見つけて帰省したく思っている)
今、無知な私には知らない言葉がたくさん飛び交う松岡正剛氏と舞踏家田中民氏の【意身伝心】という対談本を読んでいるのだが刺激を受ける。還暦を過ぎ仕事を辞め本を読む時間が増えるにしたがって、読みたい本がますます増えてゆく 。
ともあれ、自分にとって刺激を受ける良き本との巡り合いが有難いことに今年も続いていることに関しては感謝するしかない。
本を読むスピード、理解力がことさらに私は遅い、あらゆることに時間がかかるが、今年は 随分と良き本に巡り合えた気がしている。
良き本は、本当に心の友足り得る。外見は老いても想像力は脳の神経細胞を活性化してやまない。時折私は声を出し文字を音読する。音読的に黙読するだから時間がかかる。
前人未到の世界に挑むお二人の対談(すごい) |
集中すると聞いたことのある作家の声などは、語っている文体の声が私の体の中で響いたりしたりする。(私は生で松岡正剛氏の声を聴いたことがある)たぶんこれは、自分の体が作家の文体に入り込んでゆきながら読んでいるからだと思う。
シェイクスピアの言葉に限らず、音読するのはその文体の中に自分が入り込んでゆきながら、体感しながら味わってゆくということなのである。
だから、深く体に響いてきた言葉はこのところ書き写したりする。だから本を読む時間はますます遅くなる。数十ページ読んで、身体にその時点で響いてこない本は(どんな名作であれ)読まない(読めない)。
佐藤優氏は速読の本で語っておられた。自分が限られた人生時間で速読するのは、遅読するに値する本に巡り合うためであると。
要は、今現在生きている自分にとって、必要な本に巡り合えるために、巡礼読書をするのである。水や空気を入れ替えるかのようにというとオーバーであるが、その方にしか書けない実体験が醗酵したかのような、よき言葉やフレーズ、リズム、文体。
魂を未知の世界へといざなう登場人物を創造し、物語り、読者に勇気を与える書物こそが初老の私に必要なのである。
孤独に書物めぐりのオフタイム、冬の夜長時間が楽しみである。
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