このようなことは、この数十年の中では珍しい。先週は土取さんのイベント、今週は知り合って47年になる、先輩の佐々木梅治氏(たぶん72歳、劇団民芸所属)がかな手本忠臣蔵に出演するので 、見ておこうと思ったのだ。
佐々木梅治 先輩とは、私が18歳から貝谷芸術学院演劇科に3年間積していた時に、ずいぶんとお世話になった方である。二十歳までの3年間の苦悩の果てに、英国演劇自費留学を思いつくのだが、それまでの3年間密にお付き合いし、大きな影響を受けた。
その後着かず離れず、細い糸で結ばれいまも交友が持続している、数少ない私のお恥ずかしき青春時代を知る方である。年齢的にも遅咲きの花を咲かせて、持続的に氏らしい仕事をされているのを、きちんと見ておきたいのだ。
土取利行さんもそうだが、青春時代に大きな影響を受けた方が、ジャンルは異なっても、私との交友関係が継続し、案内が届くと、同時代の空気を呼吸しながら生きてきて、今なお深い問題意識を持続展開されていると、何はさておいてもかけつけたくなるのである。
ところで、両国はシアターXで行われた、【唖蝉坊演歌 とブラジル移民の歌】歌・演奏・トーク土取利行 松田美緒公演。出かけて本当に良かった。内容の濃さに、びっくり、最近の私は、静かに感動するようになった。
五十鈴川だよりで、内容を詳述している時間がないが、唖蝉坊のラッパ節が、ブラジル移民の歌として地の底を這うように 、当時の移民の方々に支持され歌われていたことを、松田美緒さんが、現地を訪ねて発見する。情熱は奇蹟を生む。松田さんはすぐ土取さんに電話を入れる。
添田唖蝉坊の歌を多くの方に知ってほしいです。 |
当時唖蝉坊の歌は、底辺社会でしか生きられない圧倒的多数の労働者に、国内外で歌詞が変えられ圧倒的に支持されていた、事実が知らされる。命の歌は生き続ける。
まさに隔世の感に、静かに座席にうずもれるかのような感じで、私は次々とうたわれてゆく、未知の歌とトークに、聞き入った。
当時の寄る辺なき庶民が、血と汗の労働に酷使、従事され、人間らしく、だが決して暗くはなくユーモアあふるる歌を、弱者に寄り添って作り続けた唖蝉坊という演歌のルーツの大天才を、掘り起こす土取利行さんと松田美緒さん。
今現在も、貧困家庭にあえぐ子供たちの報道がなされるが、このような状況に寄り添うような、歌い手の存在があるのかどうか(私はあまり知らない)。
ともあれ、強者になびきがちなのが世の習いながら、弱者の声なき声を、救い上げるような、強靭でしなやかな 音楽家土取利行さんと松田美緒さんのお仕事から、私は目が離せない。
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