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2017-09-23

郡上八幡音楽祭への旅❷

台風が17日午前中九州に上陸し、進路を北陸方面を縦断しそうな予報の中、郡上八幡音楽祭へ何としても参加するために私が選択したのは、台風上陸よりも、一足先に郡上八幡の近くまで車でたどり着くことだった。

結果、前回の五十鈴川だよりで書いたように、16日夕刻、郡上八幡まであと50㎞、下呂温泉の近くで 陽がとっぷりとくれ車中泊した。
右からアブドゥー、ハンマサンカレ・土取さん・私・ヨロシセ

ほぼ着いたも同然、帰りの運転体力のことを考え、音楽祭が始まる17日18時に間に合えばいいのだから、下呂温泉にゆっくりと浸かり運転の疲れを取り、体調万全で土取利行さんの畢竟のイベントに参加することにした。

17日朝6時には車の中で目が覚め、下呂温泉には7時前ににつき河原で露天風呂に一人で入ることができた。すっかり鄙びた温泉街のたたずまいが、行きずりの旅人である私を得も言われぬ旅情にいざなわれた。

私は下呂温泉の午前10時から始まる、370円の共同浴場(最高の湯でした)で昼まで過ごし、ところどころ寄り道しながら、飛騨高山で昼食をゆっくりと済ませ、そこから清流吉田川沿いにせせらぎ街道(車が少なく最高のドライブコースでした)を走り、土取利行さんが住んでいる郡上の立光学者に立ち寄り写真を数枚とって、音楽祭が行われる郡上八幡文化センターに午後4時予定通りについた。

開演までの2時間弱、水の街 郡上八幡を久しぶりに散策して、野外公演から変更になった文化センターのど真ん中に私は陣取った。



舞台には世界演劇界ではその名を知らぬ人はいない純粋演劇人ピーターブルックの近年の活動の舞台美術を手掛けたりもしているという、西アフリカ、マリが生んだ、現代美術家アブドゥー・ウォログァムの泥染めの大きな2枚の布が、吊るされ大小のろうそくの炎が絶妙に舞台上に配置されている。

 郡上八幡音楽祭2017【マリの歌と弦楽の響演】と銘打たれている。

マリの歌と弦楽の奏者【ハンマ・サンカレ】(マリの国民的歌手でひょうたん楽器カラバスの名手)【ヨロ・シセ】(ンジュルケという2弦楽器のの名奏手【アサバ・ドラメ】(ンゴニという4弦楽器・タマという小さなトーキングドラムの名奏者)と日本の歌と奏者【松田美緒】【土取利行】がうす暗い中静かに登場配置につく。

 座って両足を投げ出し、ひょうたん打楽器カラバスをお箸の大きさのばちでたたきながら、ハンマ・サンカレが歌いだし、5名による弦の響演が始まった。マリの音楽、3人の存在感が舞台にあふれている。体に大地から根が生えているかのような、民族の歴史とでもいうしかない。マリの音楽家と日本人真の意味での友愛と信頼感の上に成り立っているのがなんとも言えず聴衆に伝わってきた。

その瞬間、65歳のわが体全身に、来てよかったとのおもいが満ちた。遠い遠い国、西アフリカ・マリの歌と弦楽器の名手たちと、日本の歌姫松田美緒さんと土取利行さん5名による、まさに歴史的というしかない、夢のようなコラボレーションに立ち会うことができた喜びに。

初めて耳にするマリの歌と弦楽の響きは、なんともおおらかで気持ちよく、夢のひと時というしかかなかった。このような奇跡的ともいうべき、志の高い音楽祭が土取利行さんを中心にして、地元民有志ほかで4回にもわたって続けられていることに感嘆する。

とくに今回の企画は、特筆に値する画期的な意味を持つような気が、凡夫の私でさえした。人間性とでもいうしかない、動きたたずまいまで含め、醸し出す声・音が、人間の心に豊かさと勇気を与えることに 。

午後八時過ぎ、台風のさなか各地から参集した熱き聴衆の静かななんとも言えない暖かい万雷の拍手の中、カーテンコールで音楽祭は終わった。

終えて、楽屋で土取利行さんに会い挨拶をして、音楽祭のエネルギーを浴びた私は、ゆっくりと郡上八幡を後にし、岡山に向かって車を走らせた。

岐阜から風雨が強まってきたが、低速でゆっくりとただただ走った。途中高速のSAで仮眠をとり、台風一過晴れ渡った道を気持ちよく走り18日昼前にぶじに我が家についた。

妻がほっとした顔で、私を迎えた。



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